人に寄り添い、街に溶け込む建築を — 心地よさと美しさを両立する設計
建築とは、自然の中に新たな風景をつくる行為です。だからこそ私は、「元あった風景より美しい」と感じられる建物を設計したいと常に心に刻んでいます。美しい建物が集まれば、美しい街が生まれる。街並みに新しく加わる建物は、周囲をより魅力的に見せる存在でありたい。大きな建物なら街のどこから見ても美しく、小さな建物なら路地の一角でも心地よく調和してほしい。私は、建築を“街に寄与する風景づくり”だと考えています。
ただし、建築は建築家個人の「作品」ではありません。建築主との対話から生まれる「共創」です。建物には建築主の人柄や、自然や社会への向き合い方がにじみ出ます。だからこそ、私は設計の初期段階から「建築主の思い」と「環境への配慮」の両方を大切にしています。
前職では、大手設計事務所で病院や福祉施設の設計に携わってきました。病院は、診療部門・手術室・病棟・供給部など多くの機能が絡み合う、究極の複合建築です。複雑な動線を整理し、効率的に配置する作業はまるでパズルを解くようなもの。デザインに割ける時間は限られますが、それでも私は「機能と美の両立」に挑み続け、多くの賞をいただくことができました。
この経験は、住宅設計にも活かされています。住宅は病院のように多くの関係者がいるわけではありませんが、建築主一人ひとりの「声にならない想い」をくみ取ることが何より大切です。光や風、温度や湿度といった“目に見えない心地よさ”までデザインすることで、住む人の五感に響く空間が生まれます。住宅は建築の最小単位ですが、ここに真の快適さを実現できれば、大規模建築にも通じる確かな力になります。
こうした思いから、独立後は「病院・福祉施設の設計コンサルティング」と「住宅設計」の2本を柱に設計事務所を立ち上げました。住宅専門の建築家とは少し違う視点で、機能性と美しさ、人と環境の調和を大切にした建築を目指しています。
A&Aの名前の由来
A&A Architectsは病院設計を得意とする建築家である近藤彰宏が2023年に創設しました。社名のA&Aには、一人の建築家のA(rchitect)ともう一人の環境・設備専門家のA(dvanced Expert)が知恵と力を出し合い、設計に関する複雑な問題を解決し、デザインや助言・提案を行うという意味が込められています。
病院建築の難しさは上でも述べましたが、多くの機能をまとめる力に加えて病院設備の特殊性を深く理解した専門知識を持っていてそれを使いこなせるエキスパート(Advanced Expert)の参画が必要であり、その力量が病院建築の成果を大きく左右すると言っても過言ではありません。2025年春より、環境・設備系、特に病院のファシリティ分野(設備設計や感染管理など)の高度な専門知識と実務経験を持つ伊藤昭をパートナーに迎えることで、文字通りの2つの側面からのアプローチ、病院設計とコンサルティングができるようになりました。
建築家に環境・設備系エキスパートが参画することで、快適で優しい温熱・光・空気・音環境創りを実現する設計手法、すなわち敷地が持つ自然の潜在力を最大限に活かす建築計画(パッシブデザイン)とエネルギー消費を最少化する環境・設備技術(アクティブシステム)のバランスを総合的に考えて、最適化した無理のない「自然体な」計画が可能になりました。

主宰
ゼネラル・アンカー・アーキテクト
近藤 彰宏
Akihiro Kondo
一級建築士(No.238968)
1962年 東京生まれ
東京理科大学大学院 工学研究科建築学専攻修了
株式会社日建設計を経て2023年 株式会社 A&A Architects 一級建築士事務所 設立
- 一級建築士
 - ハピネスライフ財団理事
 - 東京科学大学 委託教員
 - 日本薬科大学 非常勤講師
 - 湘南医療大学 非常勤講師
 - 日本医業経営コンサルタント協会講師
 
受賞歴
- 2008年 医療福祉建築協会主催 医療福祉建築賞受賞(熊本県こども総合療育センター)
 - 2010年 第12回公共建築賞受賞(熊本県こども総合療育センター)
 - 2012年 医療福祉建築協会主催 医療福祉建築賞受賞(盛岡赤十字病院緩和ケア病棟)
 - 2012年 第13回公共建築賞優秀賞受賞(木もれ陽の里/軽井沢保健福利複合施設)
 - 2013年 医療福祉建築協会主催 医療福祉建築賞受賞(足利赤十字病院)
 - 2014年 第14回公共建築賞優秀賞受賞(盛岡赤十字病院緩和ケア病棟)
 - 2015年 医療福祉建築協会主催 医療福祉建築賞受賞(星総合病院)
 - 2016年 IFHE国際医療福祉建築賞1等賞受賞(足利赤十字病院)
 - 2016年度 JIA優秀建築賞(熊本かがやきの森支援学校)
 - 2017年 医療福祉建築協会主催 医療福祉建築賞受賞(佐久総合病院/熊本かがやきの森支援学校)
 - 2019年 医療福祉建築協会主催 医療福祉建築賞受賞(石巻赤十字病院増築棟)
 - 2019年 第17回公共建築賞優秀賞受賞(佐久総合病院)および(熊本かがやきの森支援学校)
 - 2022年 医療福祉建築協会主催 医療福祉建築賞受賞(東京かつしか赤十字母子医療センター)
 
※いずれも日建設計在籍時

建築設備プランナー
伊藤 昭
Akira Ito
建築環境・設備デザインと感染制御科学(基礎医学)研究の両輪に挑むダブルメジャー・プランナー
早稲田大学大学院 理工学研究科建設工学専攻(建築環境)修士課程修了
順天堂大学大学院 医学研究科(感染制御科学)博士課程修了
株式会社日建設計を経て2025年から現職
- 博士(医学)
 - 設備設計一級建築士
 - 建築設備士
 - エネルギー管理士
 - 東京科学大学委託教員
 - 順天堂大学大学院非常勤講師
 - 日本医療福祉設備協会理事
 - 湘南医療大学大学院非常勤講師
 
主な研究論文
- 感染制御に最適な病院建築デザイン手法の関する研究〜外来領域におけるトリアージプラン〜,順天堂医学54巻3号
 - 感染対策のための院内整備ガイダンスPart 1施設整備編「空調設備の構造とその管理-感染管理担当者が知っておくべき事,感染対策ICTジャーナル11巻4号」
 - 空調(温度•湿度)に関するトラブル,インフェクションコントロール27巻8号
 

Lead Designer
井坂 江里
Eri Isaka
“ちょうどいい”をかたちにするお手伝いと、建築に触れるきっかけづくりを行う建築プランナー
- 一級建築士
 - 東京都公立学校特別専門講師
 
