那須 夏の家 (2025年)

 標高1,050mの傾斜地に建つ別荘です。オーナーが利用する他、空いている時には一般の利用者にも開放する民泊形式のため2ベッドの宿泊室を3室設けています。それでいて山小屋の雰囲気を出すためとコストセーブのため延べ床面積77㎡(23坪)のコンパクトな建物としました。造成を最小とするために敷地の傾斜に合わせてスキップフロア(階が半分の高さでずれているつくり)とし、2階建てですが一番上の部屋は1階のリビングから見て2.5階のレベルに設けた展望デッキは屋根に設けたのと同じ高さになっています。非日常性を演出するため浴室は広さが1×1.5間(柱芯で1800×2700)と広くしてウッドデッキを設けて外にも出られるようにしています。窓ガラスには発熱ガラスを採用し湯気で曇らず外の景色を楽しめるようにしました。1階は狭いスペースを有効活用するためソファで食事ができるよう低いダイニングテーブルと椅子のセットを一体化しリビングとダイニングを兼用するレイアウトにしました。更に薪ストーブも設置し春先や秋口の気温の低い日にも快適な温熱環境を目指しています。また2.5階寝室のリビング上部吹抜けに面した落下防止柵には冷暖房両用のデザイン性の高いラジエターを配置し機能とデザインを両立させました。この器具は輻射冷暖房なのでエアコンのように風を噴き出す方式とは一味違う優しい温熱環境を創りだします。照明も間接光により天井を優しく照らす方式を中心とし、スタンド照明による光の効果までイメージしており、まさに一人の建築家が空間と温熱環境、光環境を同時に考えた建物です。家具を全て造作にすることは空間をデザインする上で理想的ですがコストアップになるため、既製品を設計段階から具体的にセレクトし、どうしても寸法が合わないところだけ造作家具としてデザインすることでコストセーブしつつ調和のある空間デザインができたと思います。

project data

  • 敷地  :栃木県那須郡那須町
  • 主要用途:住宅
  • 敷地面積:629.6 ㎡(190.5坪)
  • 建築面積:52.6 ㎡(15.9坪)
  • 延べ面積:77.0 ㎡(23.3坪)
  • 構造  :木造
  • 建築主 :個人
  • 施工  :株式会社 益徳工務店